今回のお客様、2歳の男の子、ケリー君です。
ケリー君は「エジプトからの贈り物」で紹介したニーナちゃんが生んだ4匹の赤ちゃんの中の1匹で、ブランシュちゃんの兄弟になります。
ケリー君、自慢の特技があります。それは歌を歌うこと。一曲どうぞ。
オルゴールが鳴ると歌い始めます。救急車のサイレンや口笛でも歌うそうです。
こんな風にいつも家族を和ましてくれるケリー君です。
今回のご相談の内容は、ケリー君のお散歩に関してです。
ケリー君は、散歩中に遭遇する車(自転車、バイク、自動車)が苦手です。
散歩中、それらが側を通ると恐怖で歩けなくなってしまいます。横断歩道も渡ることができません。
飼い主さんはケリー君が恐怖を克服し、楽しくお散歩ができるようになればと思っていらっしゃいます。
カウンセリングの後、実際にお散歩の様子を拝見させていただきました。
ケリー君、お散歩自体は好きみたいです。怖いものがなければ楽しそうに歩いています。
しかし車が通ると怯えた表情を見せ、止まってしまいます。それらが通り過ぎてしばらくするとやっと歩き始めます。
横断歩道の近くではそこから早く立ち去りたくて逆方向に一目散に走り始めます。
車自体が怖いというよりも「エンジンの音」が怖いようです。
ケリー君の様子がわかったところで早速レッスンを開始しました。
レッスンに取り入れたのは「系統的脱感作」という方法です。
この方法は、恐怖を感じる刺激(この場合、車)に徐々に馴らしていくというものです。
最初は自転車から。
自転車を押した状態でケリー君の側を横切ります。あまり怖がった様子はありません。
次に自転車に乗ってケリー君の横を通ります。これも大丈夫そうです。
いつもはもっと怖がる様子を見せるということですが、この日は4人のお供がいたのでいつもより心強かったのでしょう。
自転車は大丈夫そうなので次は自動車です。
車の往来の少ない道で自動車に馴れる練習です。
安全な場所で自動車が通るのを待ちます。
その間ケリー君にいろいろ話かけ、車が通り過ぎた後は「頑張ったね」と褒めてあげます。
このレッスンを10分~15分くらい行いました。
最初のうちは怖がっている様子も見られましたが、最後の方はだいぶ馴れてきました。
目の前で引越用の大きなトラックがバックしたりエンジンをふかしたりしていても落ち着いていられました。
今回の場所で怖がらなくなったら、ここより少し交通量の多い道で同じことを行います。
このように少しずつ交通量の多い道を選び練習していくことで、いずれは横断歩道も渡れるようになると思います。
目標は「横断歩道を渡ること」と飼い主さんはおっしゃっていました。
横断歩道の先には新しい世界が待っていると思います。
頑張れ、飼い主さん! 頑張れ、ケリー君!